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kumago

  • Author:kumago
  • 関西在住会社員。読書はもっぱら電車の中。熱中のあまり乗り過ごすこともしばしば。でもそんな小説に出会えたときは最高!
    *各記事のアイコンはAmazonのサイトにリンクしていています。
    Amazonの記事にも作品のあらすじや読んだ方の感想がありますので、ぜひそちらも参考に。
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もしも、私があなただったら 白石一文


2005年の冬のはじまりの頃、49歳の藤川啓吾は自らひとりで切り盛りする地元福岡のスコッチ・バー「ブランケット」の2階の住まいでようやく腰痛から開放されようとしていた。
6年前、東京の明治化成という東証一部上場企業で企業マンとして戦っていた啓吾は、会社の巨額の粉飾決算を知らず、会社再建のためロサンゼルスの企業に自社の部門売却の交渉をおこない、その失敗の責任を負い自ら辞職して福岡に戻ってきていたのだった。
そんな彼の元に突如、明治化成での同僚であり無二の親友であった神代の妻、美奈が現れる。美奈は6年前に啓吾が東京を離れる際に、一緒に連れて行ってほしいと迫ったひとだった。

作品の表題「もしも、私があなただったら」とは美奈が6年前に羽田で啓吾に言った「もしも、私があなただったら、こんな私のことを置いていったり絶対にしない」ということばの一部です。この作品では「もしも私があなただったら」というこうとは、「もしもあなたが私だったら」と考えることと同義だと言っています。少し難しいですが、男女に限らず人と人の結びつきのこのふたつがぴったりと重なることだということでしょう。そして結びつきというのは愛情であったり、時には真逆の憎しみであったりします。深い真理ですね。

この作品も、他の白石一文の作品と同じくとても美しい女性ばかりが登場します。そしてこの作品はとりわけ、性描写が過激で美しいですね。
登場人物も少なく読みやすくて深い作品だと思います。

恋愛  ★★★★★
スリル ★★★★
感動  ★★★★
総合  ★★★★★

THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

真夏の島に咲く花は 垣根涼介

舞台は南太平洋のフィジーのビチレブ島。時は2000年。この島では先住の陽気で経済観念の希薄なフィジー人と賢く商魂逞しいインド人、そして少数の中国人や日本人が共存していた。
現在25歳で、日本食レストランを経営するヨシこと良昭、その彼女で大きなみやげ物やの娘の美しいインド人サティ、ガソリンスタンドで働く岩石のような顔をしているのに人間味の強くいつも貧しいフィジー人のチョネは高校時代の同級生であり、当時異民族のチョネとサティは恋愛関係にあった。現在のチョネの彼女で旅行先であったフィジーに何か大事なものがあると感じて、単身フィジーに移り住み旅行会社に勤める日本人のアコ。
まったく異なる4人はさまざまな想いをかかえて毎日を生きていた。
そしてそんな小さな島国の首都でクーデターが起こりそれぞれの生活を支える商売が次第に傾き始める。

すべての舞台は小さな国フィジーを舞台にしています。日本では縁遠い民族間のさまざまな違いを通して、人間として生きる幸せはどこにあるのかということを問われているような気がします。

クーデターという大きな要素はあるものの、他の垣根涼介のワイルド・ソウルなどのハードボイルドな作品とは趣が異なり、登場人物それぞれの内面に光を当てたなかなか読み応えのある作品です。

※単行本のみ

恋愛  ★★★★
スリル ★★★★
感動  ★★★★
総合  ★★★★

THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

心に龍をちりばめて 白石一文

35才の小柳美帆はすれ違うだれもが振り返るほどの美人、35歳。
フードライターとして充実した日々を送る美帆は、東京から帰省で訪れていた地元九州で風邪の診察を受けた病院で幼馴染の仲間優司に偶然再会する。ヤクザとなっていた優司はサングラスの下にやさしい瞳をもっていた。

美帆の彼、丈二は東大法学部卒の頭脳明晰でスポーツマン。かつて丈二の裏切りのために別れた二人だったが7年後に再び付き始めていた。
しかし、心から丈二を愛することができないと感じていた美帆は丈二との結婚に悩んでいた。

ヤクザの優司、東大卒の丈二。美帆は対照的な2人の男性と彼らの周囲の人々、そして自らの「家族」との関わりの中で悩みながら人としての、女性としての幸福を求め続け生き続ける。

一人の女性を通して、人間の強さとは何か、美しさとは何かを読者に問いかける作品だと思います。
白石一文の文章はとてもいいですね。登場人物がくっきりと頭の中に浮かんできます。なのでとても読みやすいです。

ラストシーン、じんときました。

それにしても白石さんの作品には、美しい女性と、ハンサムな男性、おいしそうな料理がほんとにたくさん出てきますね。

※単行本のみ

恋愛  ★★★★★
スリル ★★
感動  ★★★★★
総合  ★★★★★

吐きたいほど愛してる。 新堂冬樹

4つの作品からなる短編集。
「半蔵の黒子(ほくろ)」
頬に醜い黒子を持つ毒島半蔵はすべてにおいてどうしようもない人間。想像を絶する奇怪な行動ののち、人としてありえないところまでどんどん進んでいく。

「お鈴が来る」
サラリーマンの富城の妻、吉美は精神に異常をきたしていた。その原因は富城の会社の受付嬢との浮気。しだいに壊れていく吉美の惨状を目の当たりにし富城は浮気相手の元に逃げ込むが。

「まゆかの恋慕」
ある夜、僕、佐倉一美のアパートの前に大怪我をしてうずくまっていたまゆか。一美はまゆかの傷の手当てをし、状況からレイプされたものと考えとにかく病院へ行こうとする。しかしまゆかはかたくなに拒み、一美は自室で傷が癒えるまで同棲することにする。
ことばが話せないまゆかは赤いバッグだけを持っていてそのバッグの中は決して見せることはなかった。
やがて僕はまゆかに恋することになるが。

「英吉の部屋」
英吉は84歳。寝たきりの英吉は娘と婿に介護してもらっていたが、実際には陰湿な虐待を受ける毎日であった。
しかし、その虐待は英吉自身の過去の数々の罪ならざる罪への復讐であった。

新堂冬樹は好きな作家のひとりで、このブログでもいくつか作品を紹介していますが、この短編集はかなり偏執的な作品です。
正直言って、読んでる途中から気持ち悪くなります。そして決しておすすめではありません。
あえて言うなら、人間の本質というのはどこかこのような常識では説明のつかないことも一面として持っているのだというメッセージなのかとは思います。

恋愛  ★
スリル ★★
感動  ★
総合  ★

国境の南、太陽の西 村上春樹

主人公ハジメは一人っ子であることをコンプレックスに感じていた小学生。5年生の終わりごろに同じく一人っ子の島本さんという女の子が転校してくる。2人は誰からも受け入れられるタイプではないが自然と惹かれあいひっそりとした友達になる。
中学生になり思春期を迎え学校も別になってしまった2人は自然と離れ離れになる。

やがてハジメは恋愛結婚し2人の娘の父親となり、平凡な人生から東京で2つの上品なバーを経営する成功者へと変貌する。

そして36才の時、彼のバーにとても美しい女性が現れる。それは島本さんだった。

村上春樹の長編としては、ノルウェイの森以来の恋愛小説だと思います。とにかく素晴らしい。他の村上春樹の作品のような独特の世界観とは少し違った最高の恋愛小説だと私は思います。
どちらかというと男性向けかもしれません。
今までに10回近くは読み返していると思います。

恋愛  ★★★★★
スリル ★
感動  ★★★★
総合  ★★★★★

ツ、イ、ラ、ク 姫野カオルコ

 

ある田舎の小学校。社会の縮図のように男女の好悪や派閥、いじめがある。そんな環境で育った準子はやがて同級生たちと中学校に進学する。そこへ1年の11月から産休となった担任に代わって河村礼二郎という23歳の若い教師がやってくる。思春期を迎えどこか周りの同級生たちの幼さに覚めていた準子と河村は次第にやがて激しくお互いを求める存在になっていく。

個性豊かなたくさんの同級生や教師が登場し、小学2年から大人になるまでのひとりの女性の半生が教師との禁断の恋を中心に描かれる。非常にエロティックな小説でありながらとてもストレートに純愛を描いた作品です。


恋愛  ★★★★★
スリル ★
感動  ★★★★★
総合  ★★★★★

誰よりも美しい妻 井上荒野


 

有名ヴァイオリニスト惣介と美しい妻の園子、ひとり息子の深のおはなし。

惣介には自慢の美しく愛する妻園子がいる。その一方で常に大学の教え子などの恋人がいる。惣介は世間ずれし純粋な性格であるために聡明な園子には常に恋人の存在がばれていることを知らない。
園子は、そんな惣介の「浮気」を攻めることもなく、ただ積極的に傍観している。

軽い恋愛小説が読みたい時に本屋さんで見つけて買ったんですが、かなり風変わりな恋愛小説ですね。
小説としての読み応えは足りないように感じましたが、独特の世界観で面白い作品だと思います。

恋愛  ★★★★★
スリル ★
感動  ★★★
総合  ★★★

水曜の朝、午前三時 蓮見圭一

 

直美という45歳で亡くなる美しく闊達な女性が死の直前、NYに留学していた一人娘に残した4巻のテープに録音されていた告白を、娘の夫であり子供の頃から将来義母となる直美にあこがれていた「僕」が語るという作品。

直美は23歳の頃、厳格な家庭、興味のもてない許婚から逃れるため大阪で開催される万博のコンパニオンとなる。
そこで出会った臼井さんという優秀な男性に惹かれやがて恋に落ちる。

文庫化されなおベストセラーとなった作品なので読んだ人も多いと思います。単なる純愛小説ではなく、直美が末期の癌に侵されて入院している病院で出会う小児癌の子供と母親たちとの件や物語の核であること(ここで明かさないほうがいいでしょう)などとても考えさせられる良い小説だと思います。
表現がきれいで胸に響くことばがいくつも出てきます。


恋愛  ★★★★★
スリル ★
感動  ★★★★★
総合  ★★★★★



眠れぬ真珠 石田衣良


 

45歳独身の版画家の咲世子は神奈川県逗子市のアトリエに住み、フォルクスワーゲンのポロに乗る。自分の世界を持ち自立している彼女のいきつけのカフェで28歳の新人ウェイター素樹と出会う。素樹は新進の映画監督だったのだが、ある出来事のために現在は映像から遠ざかっていた。
素樹は咲世子にドキュメンタリーのVTRを撮らせてほしいと要望する。
やがて二人は激しい恋に落ちるが。

シンプルでとてもおしゃれ、そして大人な激しい恋愛小説です。
私は石田衣良の作品の中でいちばん好きな作品ですね。

恋愛  ★★★★★
スリル ★★★
感動  ★★★★★
総合  ★★★★★

I LOVE YOU 伊坂幸太郎ほか

 
人気男性作家の短編恋愛小説を集めた恋愛アンソロジー。
6作品があり、どれも読みやすくかつ軽すぎない。普段どちらかというと長編小説ばかり読んでいますが、この短編集はなかなか良かったですね。
これを読み終えた後、この中の本多孝好と石田衣良の本を買いました。

恋愛  ★★★ スリル ★★★★★ 感動  ★★★ 総合  ★★★