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kumago

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  • 関西在住会社員。読書はもっぱら電車の中。熱中のあまり乗り過ごすこともしばしば。でもそんな小説に出会えたときは最高!
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どれくらいの愛情 白石一文



4編の恋愛小説集です。

「20年後の私へ」
旅行会社に勤める39歳の岬は、仕事関係のパーティーで3年前に協議離婚した元夫と思いがけず再会し、ささくれだった気持ちのまま一人暮らしのマンションに帰り着く。
翌朝、郵便物の中にかつて19歳の時に大学の授業の課題で書かされた自分あての「20年後の私へ」という手紙を見つける。
ふと会社の後輩の安西から100円で「レンタル」した邦画のDVDがあったことを思い出し観ることにする。5期下の安西は仕事の評判はあまりよくないが、不思議と自分の気持ちにぴったりする映画をおすすめしてくれる。彼もまた離婚経験者であった。

40歳を前に離婚を経験し、これからの人生に悩む女性の心が描かれます。自分にとって何が幸せかを考える岬にぴったりのエールを送るのが、20年前の私から届いた手紙、という素敵なストーリーですね。

「たとえ真実を知っても彼は」
出版社に勤める市川は、別の出版社に勤める妻緋沙子との12回目の結婚記念日を迎える。一人息子の文彦を実家に預け例年通り結婚記念日の夜は二人で過ごす約束をして北海道への日帰り出張に出発する。
しかし、北海道に着いた市川の携帯に会社から連絡が入り市川が担当する大物作家の里見鴻一郎が心筋梗塞で急逝したことを知らされる。里見は以前緋沙子も担当した作家で二人を引き合わせた人物であった。
里見の妻でありフランス人である里見カレンを支えて通夜葬儀を終えて自宅に戻った市川は、緋沙子から離婚してほしいと告げられる。

例によって中途半端なところまでしか書けませんが、里見夫妻と市川夫妻の過去から、表面に現れる人間関係に潜む隠れた愛情と性、嫉妬が描かれます。

「ダーウィンの法則」
知佳と関口英一は付き合って3か月。英一には妻と中学生の娘がいる。
今は亡き知佳の父も亡くなる前に不倫が発覚し、知佳は教師であったその相手の自宅に乗り込んだという経験をもっていた。
知佳は日中は博多でめんたいこを扱う会社に事務員として勤め、夜は「ダーウィン」という店でアルバイトをし、英一は「ダーウィン」の客だった。

知佳は英一の言動考察、英一との関係、過去に付き合った男たちとの関係などから、生殖という動物の本能まで辿って性について考えます。

「どれくらいの愛情」
博多で「博多ぜんざい・ナカムラ」を経営する中村正平は独身で、順調な事業拡大とはうらはらに、5年前に別れた晶(あきら)のことが忘れられないでいた。
結婚まで約束した晶の許しがたい裏切りにより心に傷を負った正平に、ある深夜、晶から電話がかかってくる。
同じ博多に住む晶とはしばしば道ですれ違いながらもお互いに声をかけることもなかったが、ちょうど昨日がすれ違って100回目だったと言う。
その後晶の入院をきっかけにまた晶との付き合いが始まるが、晶の現在の彼や晶の兄が現れ、ビジネスだけであった正平の人生に波風が立ち始める。そして5年前の晶の裏切りの真相が見えてくる。

正平が晶と再び会うようになった時の正平の思いに次のような一文があります。

―自分のことを心配してくれる存在も大事だが、それと同等かそれ以上に、こうして自分に心配をかけてくれる存在が大切なのだ―

この一文がいいなぁと思いました。
男女を問わず、人間関係のひとつの真理ですね。

この作品のラストシーンがすごく好きです。

作者のあとがきによると、この4編は長編「もしも、私があなただったら」と同時期の2005年から2006年に書かれた一連の作品群ともいえるものとのことです。

大人の恋愛ものがたりですね。

恋愛  ★★★
スリル  ★★★★
感動  ★★★★
総合  ★★★★★
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