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kumago

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パン屋再襲撃 村上春樹


前の投稿からずいぶん時間が経ちました。
振り返ってみるとこれまでに読んだ好きな作品で、手元に単行本か文庫本が残っている作品だけでも、このブログにあげてないものが30冊以上もあることに気づきました。
またぽつぽつと気が向いたらアップしていきますね。

1986年に単行本として発表された村上春樹初期の短編集です。
「パン屋再襲撃」「象の消滅」「ファミリー・アフェア」「双子と沈んだ大陸」「ローマ帝国の崩壊・1881年のインディアン蜂起・ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界」「ねじまき鳥と火曜日の女たち」の6編です。

「パン屋再襲撃」
僕と妻は新婚したばかりのある夜、そろって午前2時前に空腹で目覚める。冷蔵庫の中にあったビールと台所で見つけたわずかばかりのクッキーを食べるが空腹は満たされない。
その時、僕は独身の頃、友人と同じような空腹な日にパン屋を襲ってパンを手に入れた話を妻にする。
すると妻は、今夜のこの空腹はその時の呪いなので、今すぐパン屋を再び襲って呪いを解かないといけないと言い出す。

村上春樹の短編らしいとても不思議な世界観です。おもしろいけどもどこかせつない、そんな気持ちになって心地よいです。

「象の消滅」
僕が住む町の郊外の元小学校体育館で、町が閉鎖した動物園から引き取って飼っていた年老いた象が、飼育係と共にある日突然消えてしまった。その象にひときわ関心を持っていた僕は、象の消滅から1年後、ある仕事関係のパーティーで知り合った女性に象の消滅について誰にも話さなかったちょっと不思議な話を語る。

「ファミリー・アフェア」
僕と妹は東京のアパートで、お互い干渉せずに楽しく暮らしていた。でもその妹にコンピューターエンジニアの彼ができると、少しずつ変わっていく。僕は妹に言わせると偏狭で傲慢で、どうしてもその彼のことが好きになれなかった。

この短編集の中では、個人的にいちばん好きな作品ですね。
登場人物それぞれの個性が簡潔に描かれていて、僕と妹の会話がとても楽しいです。まるで舞台を見ているような楽しさがあります。


「双子と沈んだ大陸」
僕は喫茶店でたまたま手に取った雑誌に半年ほど前まで一緒に住んでいた双子の女の子が写ったディスコの写真を目にする。相棒と小さな翻訳事務所をやっている僕はその写真をきっかけにいろいろなことをひとり考える。

この短編の僕と双子の女の子は「1973年のピンボール」に登場する人物たちです。単純な「彼女」ではなく奇妙な双子(突然現れて、突然理由も言わず去って行った)であるところにものがたりとしての面白さがあると思いますが、個人的に「喪失感」という気持ちを考えさせられる作品です。

「ローマ帝国の崩壊・1881年のインディアン蜂起・ヒットラーのポーラ
ンド侵入・そして強風世界」
僕のある日曜の午後のおはなしです。
4つの「見出し」は何れも比喩的な意味で使われ、たとえばはじめの「ローマ帝国の崩壊」はローマ帝国のように平和な日曜の午後が不吉な強風と共になにかがおかしくなっていく始まりを示しているように思えます。奇妙な短編です。

「ねじまき鳥と火曜日の女たち」
失業中の僕がひとり自宅でスパゲティをゆでていると「十分間だけ時間がほしいの」という知らない女性から電話がかかってくる。女性は自分のことを知っているようである。
不審な電話が切れると今度は仕事中の妻から電話があり、飼っている猫が数日行方不明なので、近所の『路地』に探しに行ってほしいと告げる。その路地に行くと平日の午後に自宅の庭で日光浴をしている15か16才くらいの女の子と出会う。

のちの長編「ねじまき鳥クロニクル」の元になった作品です。
この短編集はどの作品も「僕」と「僕」を取り巻く奇妙な女たちの物語といえると思います。
その会話や関係性の中で「僕」の内面を表現しているように思います。
この短編集は男性と女性でまったく読み方が変わる作品かもしれませんね。

恋愛  ★★★
スリル ★★★
感動  ★★★
総合  ★★★★★

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