流転の海の第6部、「慈雨の音」です。 昭和34年大阪で柳田商会のモータープールの管理人として職と住を得た熊吾と房江、そして肉体的な成長が遅れているが天真爛漫で素直な中学生となった伸仁は、穏やかな日常を手に入れていた。 房江は親子3人で平穏に暮らせることに幸せを感じ、通信教育で字の勉強を始める。家族の生活のため小学校さえ卒業することを許されることのなかった房江にとって、学がないということが大きなコンプレックスであったが、熊吾の理解を得られないことも苦になっていた。 一方の熊吾は、現在の生活に決して満足せず自らの事業家としての再起をかけ、奔走する。 時代の大きなうねりや自らの運命というしかない試練に、内に宿る強烈なエネルギーを時に激しく時に静かに爆発させながら、決して他人を騙したり利用することなくまっすぐに生きる松坂熊吾の人生をつづるシリーズ第6部です。 熊吾一家同様、熊吾の周りの人々の人生も出会いや別れを繰り返し喜びや悲哀をもって描かれています。 小説が好きな人であれば、ぜひ読んでいただきたい作品です。前作の「花の回廊」までは文庫になっていますので、第1作の「流転の海」から読んでみてください。 私がこのブログを始めようと思ったきっかけになった作品です。 恋愛 ★★★★ スリル ★★★ 感動 ★★★★ 総合 ★★★★★
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