父親を知らず、”客”をとる母親に育てられた康平は貧しい家庭の少年だった。一方康平の幼馴染みの治夫は同じ丹波の村の裕福な家庭の息子だった。康平が小学生だったある日、康平の母は首を吊って自殺する。天涯孤独となった康平は、治夫の優しい父柳本統治郎に引き取られ治夫と同じ屋根の下で暮らすようになるが、統治郎の妻文子の冷たい仕打ちに会い、常に治夫に負い目を感じていた。高校3年生になった康平は、同級生の佐依子を襲おうとした治夫を殴り卒業前に村を出てしまう。そして偶然大阪で出会った愛知県の染色業のヤイダ染工の社長矢井田晴次の元で働くことになる。汗とインクにまみれて働く康平のところに、ある日早稲田大学の学生となった治夫が現れる。やがて治夫は地方銀行の銀行マンになり、成績を上げるため矢井田に近づく。康平は、小さい頃から治夫にひどい扱いや仕打ちを受け続けるがなぜか縁が切れることがない。結局は50代になるまで延々と二人の”絆”は続いていく。物語はバブル経済前後の社会情勢に流されながら、必死で生きる康平を中心に様々なひとの絆を描いています。すばらしい作品だと思います。示唆に富んでいて、いろいろなことを考えさせられます。文章も読みやすいけれどもとても重みがあっていいです。ベストセラーではなかったのかも知れませんが、そうだとしたら隠れた名作だと思います。小説好きなら読んで損はありません。恋愛 ★★★★★ スリル ★★★★★ 感動 ★★★★★ 総合 ★★★★★
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