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kumago

  • Author:kumago
  • 関西在住会社員。読書はもっぱら電車の中。熱中のあまり乗り過ごすこともしばしば。でもそんな小説に出会えたときは最高!
    *各記事のアイコンはAmazonのサイトにリンクしていています。
    Amazonの記事にも作品のあらすじや読んだ方の感想がありますので、ぜひそちらも参考に。
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プリズム 百田尚樹



小学生の家庭教師として成城のお屋敷岩本家に派遣された主婦梅田聡子は、家庭教師の合い間に散策させてもらった美しい庭で、ひとりの青年に出会う。

青年は初対面の時には庭の樹に手を触れた聡子をいきなり怒鳴りつけたが、次に会った時には別人のようにおだやかな人物だった。そしてまた次に庭で出会った時には、一転してぶしつけな態度をとる。
不審に思った聡子は、岩本夫人にその青年のことを尋ねると、当主の弟で数年前に体を壊して、今は屋敷の離れで暮らしている、とのことだった。

そして数度めに再会した青年は、またこれまでと異なる知的な印象を受ける。同じ青年なのになぜ会うたびに違うのか、青年は「村田卓也」と名乗り、聡子ににわかには信じがたいその理由を語る。

青年の謎は物語の前半で明らかになります。
そこからそのことをテーマに恋愛も絡めながらとても興味深く物語が進んでいきます。

百田尚樹の作品はテーマが明快で非常に読みやすいですね。

恋愛  ★★★★
スリル ★★★
感動  ★★★★
総合  ★★★★

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夢をかなえるゾウ 水野敬也

「僕」は普通の独身サラリーマン。昨夜潜り込んだ実業家の赤坂の自宅高級マンションで開かれた華やかな誕生日パーティーであまりの自分との世界の違いにうちひしがれた二日酔いの翌朝、タバコをくわえ、長い鼻をゆらし、片方折れた角をはやし、腕が四本でおまけにばりばりの関西弁で話す奇妙な生き物に起こされる。
「ガネーシャ」と名乗ったその生き物は自分はインドの神様だと言う。
そして、昨日泥酔して「成功してお金持ちになりたい」と泣き叫んでいた僕のために現れて、修行してやると言い出す。

その日から、僕はガネーシャと暮らし、毎日ガネーシャが出す課題をこなしていく。その課題とは「募金をする」「便所を掃除する」など身近で一見成功とはほど遠いものだった。

果たして、こんなことをやっていて僕はいつ成功できるんだろうか、と思いつつ次第にガネーシャとの生活を楽しむようになる。

奇妙な本です。ハウツー本の小説版という表現が近いかもしれません。設定が奇妙でとにかく痛快です。
神様ガネーシャの関西弁が炸裂で、これまで育ててきた人物が、松下幸之助だったり、本田宗一郎だったり、あるいはエジソンやニュートンだったり、友達が釈迦だったりします。

ばかばかしくて面白いだけでなく、ためになる内容満載の作品です。

恋愛  ★
スリル ★★★
感動  ★★★
総合  ★★★★


THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

歪笑小説 東野圭吾

12編の連作短編小説です。

憧れの出版社の書籍出版部に配属に決まった青山は初出勤の初日から伝説の編集者と言われる獅子取編集長に紹介される。
獅子取は何百冊というベストセラーを出版してきた。
しかしその手腕とは、人気作家とゴルフに行けばわざと1打差で先生に負け、先生が理不尽に機嫌が悪いと理由もわからないまま土下座するような必殺技の連発だった。
その日から、青山は編集長に留まらず、デビュー作のハードボイルド小説「撃鉄のポエム」で新人賞を取りドラマ化の話があるも、ぱっとしないしない熱海圭介をはじめとする作家や、家族をはじめとする作家を取り巻くさまざまな人々の支離滅裂な行いや言動に翻弄される毎日を過ごすことになる。

東野圭吾の、出版業界の実態(?)を題材とした作品です。
さすが関西人!と思わせる笑いの連発で思わず声を上げて笑いそうになることたびたびでした。
中でも、思わず笑ったのは、大凡均一(おおよそきんいち)という作家の作品名で「殺意の蛸足配線」です。
これだけでも、東野圭吾恐るべしと思いました。

小説で笑いたい方にはぜひ。

恋愛  ★★
スリル ★★ 
感動  ★ 
総合  ★★★★★

ユダ(上)(下) 立花胡桃

絵里香は、高校卒業後埼玉の実家から1時間半かけて都心のジュエリーデザインの専門学校に通っていた。
退屈していた埼玉の大宮でキャバクラのスカウトマンに声をかけられ、軽い気持ちでキャバクラのバイトを始める。時給2700円。
その後2ヶ月でその店のNo.1になった絵里香は2ヶ月目にして月給100万円を手にする。
他の「キャスト」から妬まれ、いじめを受けるのもものともせず、次第にキャバクラの世界にどっぷりはまっていった絵里香は、「同伴」してくれる男たちを次々に増やし、No.1を維持し続ける。

高校時代に付き合った彼氏からひどい仕打ちを受けた経験のある絵里香にとって、男は信用のできない生き物であり、男を騙し手玉にとって貢がせることは、男に対する復讐でもあったが、同時に意志とは裏腹に愛情を抱かざるを得ない生き物でもあった。

キャバクラデビューからの8年間、店と源氏名を変えながら絵里香はさまざまな男たちと渡り合う。

筆者の実体験を下に非常にリアルなキャバクラという世界の実態を描いた作品です。
同じような男と女、女と女の駆け引きが描かれ上巻の後半は若干中だるみかなと思いましたが、その後は一気に読めてしまいました。
好き嫌いのある作品だとは思いますが、個人的にはなかなか面白かったと思います。

恋愛  ★★★★★
スリル ★★★
感動  ★★
総合  ★★★★

THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

村上春樹全作品1990-2000 1 短篇集1

村上春樹の1990-2000年ごろに発表された短篇を集めたものです。

「TVピープル」に始まり、ヨーロッパの数誌に掲載され日本初発表の「青が消える(Losing Blue)」まで、村上春樹が「ひょひょいのひょい」と称する超短篇を含め、44編が収録されています。
また、巻末には、解題というタイトルで氏本人による収録作およびその書かれたいきさつなどについての長い解説があり、こちらもとても興味深いです。

「TVピープル」など何度も読んだ作品もあるのですが、今回初めて読んだ作品もありました。
ほとんど意味のない言葉遊びのような「ひょひょいのひょい」もなかなか面白いです。ことば(文章)って面白いなと実感しました。

個人的には、「我らの時代のフォークロア-高度資本主義前史」の雰囲気がとても好きですね。
**
1960年代に青春時代を過ごした筆者が小説家になった後、偶然イタリアで高校時代の同級生に出会う。彼は高校生の当時、成績が良くて運動が出来て親切でリーダーシップがとれた男で、美人で成績が良くて運動ができてリーダーシップがとれた彼女がいた。

彼は彼女といるとほっとするし、当然の流れとして彼女と寝たいと思っていた。でも彼女は、結婚するまでは処女でいること、結婚する相手は自分よりも年上の男性だということを「決まったこと」として考え、決してそこから一歩も踏み出さなかった。
結局大学に進学した後、二人は別れてしまうが、28歳なったある日、既に結婚した彼女から突然電話が掛かってくる。
**
これを機に、他の全作品集に収められている短篇も読み返してみようかなと思ってます。

改めて、村上春樹の小説世界はたまらなく魅力的だと感じましたね。

(単行本のみ)

恋愛  ★★★★★
スリル ★
感動  ★★★★
総合  ★★★★★


THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

新参者 東野圭吾

加賀恭一郎刑事シリーズ、2009年に発表された作品です。

東京の老舗店舗が並ぶ日本橋人形町、その隣の小伝馬町のマンションの1室で、一人暮らしの45歳の女性三井峯子が絞殺される殺人事件が発生した。

これまで数々の難事件を鋭い洞察力で解決してきた加賀は、現在練馬署からこの事件の所轄の日本橋警察署に移動になったばかりであった。
加賀は事件発生日の死亡推定時刻の少し前に被害者宅を訪れた保険会社の営業マンがその後に立ち寄ったという人形町の煎餅屋に聞き込みに訪れる。
捜査本部から有力な容疑者と見られていた営業マンは、加賀の的確な聞き込みと推理と裏づけ捜査により、容疑者リストから外される。
このように、事件の背景には東京の下町の人情に厚い人々の触れ合いがあった。
加賀は捜査を進める中で、直接的には事件に関係のない下町の人々の人情に触れ合いつつ、じわりじわりと確実に事件の真相に近づいていく。
被害者峯子の友人、元夫、息子と様々な人々から間接的なはなしを聞くうち、加賀は犯人を探り当てる。

すごい作品です。「第1章 煎餅屋の娘」「第2章 料亭の小僧」…と章毎に様々な人が出てくるのですが、1つの殺人事件を軸にすべての章が見事に1本につながっています。

ただ単に殺人事件の犯人を追いかける推理小説ではなく、捜査線上に浮かび上がる人々の人生を少しずつ掘り下げ、厚みのあるストーリーが展開していきます。

東野圭吾の作品はたくさんありますが、個人的には「白夜行」と並ぶ最高の作品のひとつだと思います。

(単行本のみ)

恋愛  ★★★★
スリル ★★★★★
感動  ★★★★★
総合  ★★★★★


THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

謎解きはディナーのあとで 東川篤哉

今、ベストセラーの軽快推理小説です。

宝生麗子は国立市の刑事。そして麗子の上司、風祭警部は、英国製三つ揃いのスーツを着こなし、シルバーメタリックのジャガーで殺人現場に駆けつける国内有数の自動車メーカー「風祭モータース」社長の御曹司、つまりお金持ちのぼんぼん。
麗子は殺人現場で、風祭警部の安っぽい推理にあきれること度々だったが、その実、二人が担当する事件は難解に思われるものが多かった。

1日の仕事をとりあえず終えた麗子は、現場を離れるとすぐに電話を入れる。するとどこからともなく宝生家の執事が運転するお迎えのリムジンが現れる。実は、麗子は風祭家をはるかに凌ぐコングロマリット「宝生グループ」の総帥宝生清太郎の一人娘であった。

最近、宝生家の執事となり麗子の御世話をする影山は、かつてプロ野球選手か私立探偵になりたかったという、こちらも一風変わった男。

明晰な頭脳を持つ影山は、麗子から現在携わっている事件の内容を聞くと、ひとこと「失礼ながら、お嬢様はアホでいらっしゃいますか」と執事とは思えない一言を発した後、順序だてて推理を展開し見事に事件を解決してしまう。

この作品では、6つの殺人事件が発生し、それぞれの事件を影山が見事な推理で鮮やかに(お嬢様、麗子を小馬鹿にしながら)解決してしまいます。

それぞれの事件に関連性はなく、一話完結になっています。

麗子と風祭警部、麗子と影山の掛け合いが面白く、かる~い推理小説です。ひとつひとつの起承転結が短いので、本格的な推理小説を読みたい人にはおすすめしませんが、軽いものが読みたい方や中学生高校生くらいで、これから読書を始めようという方にはぴったりですね。

(単行本のみ)

恋愛  ★★★
スリル ★★
感動  ★★★
総合  ★★★


THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

Story Seller 新潮社ストーリーセラー編集部編

7人の作家の短編集です。

「首折り男の周辺」 伊坂幸太郎
東京都内で、首の骨を折られる連続殺人事件が発生する。
テレビで報道された目撃者による容疑者の風貌は、身長185センチ、格闘家のような体格で似顔絵も公開されていた。

あるアパートに住む安永智子は、最近隣に引っ越してきた若者小笠原稔がこの犯人ではないかと疑う。
当の小笠原は体格と違い、小心者で昔からいじめられてばかりいるような男だった。
その小笠原が街を歩いている時、見知らぬ男から「大藪」と声をかけられる。

「プロトンの中の孤独」 近藤史恵
赤城は、自転車メーカーが作ったロードレースの「チーム・オッジ」のメンバー。力はあるが3年半のスペインでの修行の甲斐なく、チームでエースになれるだけのレベルには到達できなかった。
チームでは、実力がありエースを張る久米が幅を利かせていたが、今年入った石尾は久米をしのぐ実力を持ち頭角を現していた。
監督から、チームになじめない久米をつなぎとめることを頼まれた赤城は、久米と親しくなる。

「ストーリー・セラー」 有川浩
小説が好きな「俺」は勤めているデザイン会社の同僚の「彼女」がUSBメモリにひそかに書き溜めていた未発表の小説を偶然見つけ、感動を覚える。そのことから徐々に接近した二人はやがて結婚し、「俺」の勧めで応募した小説の賞で大賞を受賞する。
しかし、異常な「彼女」の父親や過去の知人との係わり合いの仲で次第に彼女の内面が崩壊していく。
そして訪れた病院で、医師から病気を告げられる。

「玉野五十鈴の誉れ」 米澤穂信
小栗家の一人娘、純香は厳格な祖母に小栗家の跡取りを婿に迎える人間として、厳しく育てられる。
そして15歳の誕生日に、侍女の玉野五十鈴を「与え」られる。
以来、純香は五十鈴に心を許し、ほとんど唯一の親友のように接する。
高校を卒業するまで、祖母の下で暮らしていた純香は、策を講じて家を離れて大学に入学し五十鈴とアパート暮らしを始めるが。

「333のテッペン」 佐藤友哉
全長333メートルの東京タワーの塔頂部で男の死体が発見される。
東京タワーないの土産物やに勤める土江田の周りにいろいろな人間がうろつきまわる。
真相が解明しないまま、2つ目の死体が同じく東京タワーの塔頂部で発見される。
その死体は、土江田が勤める土産物やの社長であった。

「光の箱」 道尾秀介
童話作家の圭介は14年間に離れた地元に同窓会に出席するために帰省した。
父親がなく貧しくて不幸な家庭に育った孤独な小学生の圭介は、毎日ノートに童話を書いていた。
そんな圭介に話しかけてきた弥生は、自分は絵が好きだから一緒に絵本を作ろうと提案する。
それ以来ずっと一緒だった圭介と弥生だが、高校の時に起こったある事件により、別れてしまう。

早く着いてしまった同窓会の会場のホテルのカフェでコーヒーを飲みながら、当時のことを回想していた圭介は、あることに思い当たりその事実を確かめるためにホテルを飛び出す。

「ここじゃない場所」 本多孝好
女子高校生の郷谷利奈は、身の回りのすべてが退屈に思えて仕方がなかった。
ある日、利奈はクラスメイトの秋山隆二が駅前の交差点で赤信号を無視して突っ切ってきた車にはねられそうになった自転車の少年を助ける現場を目撃する。秋山は常識では考えられない位置から瞬時に子どもを抱きかかえて元の位置に戻ったのだった。
テレポーテーションとしか見えなかった利奈はそれから秋山に接近する。

読んだことのある作家もない作家も混じっていて、それぞれに個性が強くてなかなか面白かったですね。
特に道尾秀介の「光の箱」は感動ものの秀作だと思います。
この作品を読むだけでも、買って損なし!の1冊です。

恋愛  ★★★★★
スリル ★★★★★
感動  ★★★★
総合  ★★★★★


THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

まほろ駅前多田便利軒 三浦しをん

多田啓介はばついち独身の30なかば。東京近郊のまほろ市の駅前で、便利屋をやっていた。依頼はさまざまで、自分の代わりに年寄りの見舞いに行ってほしい、庭の掃除をしてほしい、犬を預かってほしいなどなど、時には家の前のバス停でバスが時刻表どおりに運行されているかチェックしろ、などという珍妙な依頼もある。

ある日、啓介はバス停で高校の同級生の行天春彦に出会う。
行天は見栄えもよく成績もよかったが、校内ではひとことも言葉を話さないという変人だった。

大して仲良くもなかった行天は別人のように話すようになっており、その日から啓介の自宅兼事務所に転がり込み、それぞれに心の傷をかかえたふたりの奇妙な同居生活がはじまった。

第135回直木賞を受賞した作品ですね。
ところどころにある啓介と行天のイラストがかっこ良すぎて違和感がありますが、軽快な二人の駆け引きの中にユーモアと人生の悲哀がにじむ作品です。
二人を取り囲む娼婦のルルとハイシー、小学生の田村由良などユニークな登場人物も魅力的です。

恋愛  ★★★
スリル ★★★★
感動  ★★★
総合  ★★★

THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

フェイク 楡周平

岩崎陽一は、三流大学を出たばかりの銀座の高級クラブ「クイーン」のボーイ。
冴えない陽一は新たに店のママとなった「上条麻耶」から専属の運転手になってほしいと頼まれる。月給手取り15万の陽一は1日1万円のこのアルバイトに飛びつく。
麻耶は、月収3000万を稼ぎ10人ほどの上顧客を抱える売れっ子のママで、顧客のひとりで製薬会社の社長山野の愛人であった。
やがて、陽一と、陽一の親友で新宿の酒屋の息子であり、ギャンブル好きの謙介は、麻耶からやばい仕事を依頼される。
しかし陽一が想いを寄せる大学時代の友達のさくらを麻耶に紹介するところから、事態は思わぬ方向へ展開していく。

銀座の高級クラブやギャンブルなどの世界が生々しく描かれていて、それらを素材にしたストーリー展開にひきつけられました。
ストーリーの後半は、ギャンブルを利用した復讐劇となっているのですが、その方法がとても斬新で、ちょっと考え付かないような方法で、スケールも大きい。表題からは内容がわかりにくいですが、うならせられるすごく面白い作品だと思います。

恋愛  ★★
スリル ★★★★★
感動  ★★★
総合  ★★★★★

THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |
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