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kumago

  • Author:kumago
  • 関西在住会社員。読書はもっぱら電車の中。熱中のあまり乗り過ごすこともしばしば。でもそんな小説に出会えたときは最高!
    *各記事のアイコンはAmazonのサイトにリンクしていています。
    Amazonの記事にも作品のあらすじや読んだ方の感想がありますので、ぜひそちらも参考に。
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私たちが好きだったこと 宮本輝

この作品は、ブログをご覧いただいた方からメールで教えてもらった作品です。

北尾与志、31才は独身の照明デザイナー。ひやかし半分に応募した3LDKで賃貸の新築公団住宅の抽選に当選し、友人の昆虫専門の写真家「ロバ」と同居することになった。
引っ越した当日、六本木で飲んでいた二人は偶然同席した二人の27歳の女性、美容師の曜子と会社員の愛子と仲良くなる。
その6日後、ロバの引越し当日に曜子と愛子が自分たちの引越しの荷物をトラックに載せてやってくる。一緒に飲んだ日に同居の約束をしたと言うのだった。まったく記憶にない与志くんに、そのことは嘘だと白状する2人だったが、結局そのまま同居生活がスタートすることになった。

すぐに与志くんと愛子、ロバと曜子というカップルができ、夜はカップルごとの寝室で寝るという奇妙な同居生活だったが、愛子は不幸な生い立ちで、不安神経症という精神のやっかいな病気を抱えていた。一方の曜子の前にはかつての不倫相手の男が現れロバとその男の狭間で揺れ動く。

人の善い4人の男女がその善良さ故に苦しみながら、互いに愛する友人や恋人を支えあって生きていく様が描かれています。
理屈では割り切れない愛情や人のさががそれぞれの行ないを通して伝わってきます。

宮本輝の作品は、これまでもこのブログでいくつか取り上げましたが、個人的にはこの作品の世界観はとても好きですね。これこそが恋愛小説というものだと思います。

恋愛  ★★★★★
スリル ★★★★★
感動  ★★★★★
総合  ★★★★★

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THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

恋愛時代(上)(下) 野沢尚

衛藤はると早勢理一郎は元夫婦。恋愛の後結婚したが、授かった息子慎之輔が死産だったことが間接的な原因となって1年3ヶ月で離婚してしまった。

しかし、離婚後も結婚記念日や慎之輔の命日に止まらず、はるの妹で大学生のしず夏や理一郎の親友で産婦人科医の海江田を交えてしょっちゅう会っては互いに憎まれ口をたたき、カラオケでは「別れても好きな人」をデュエットするような、奇妙な関係を続けていた。

いつもの口げんかの成り行きで互いに再婚相手を斡旋紹介することになった二人は、はるの幼馴染で美しくスタイルもいいがバツイチ子持ちのかすみと、はると理一郎の結婚式の介添え人だったホテルマン永富をお互いに紹介する。

果たして二人の恋愛の結末は...

作者の野沢尚はいくつかのすばらしい小説を書いた後、44歳の時に自殺してしまっています。
この「恋愛時代」は第4回島清恋愛文学賞を受賞しており、離婚した後にずっと友人以上恋人未満といった関係を続ける二人の独白のような形で物語が展開します。

特殊なカタチの大人の恋愛が見事に描かれており、終始軽いタッチの語り口調ながら、男女の恋愛感情の機微が心をくすぐる作品です。

恋愛  ★★★★★
スリル ★★★★★
感動  ★★★★★
総合  ★★★★★


THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

ラスト・ワルツ 盛田隆二

1985年、「ぼく」は新宿のバーで花菜子さんに12年ぶりに再会する。
12年前、東京に出てきたぼくは風変わりな女の子のメグや山田さん、そして花菜子さんと出会う。メグと花菜子さんは同じ劇団の劇団員だった。
そしてぼくは、花菜子さんがむすめのなっちゃんの住むアパートに 転がりこみ、束の間の同居生活を送る。
ある日、花菜子さんは、犬の首輪をつけて帰ってくる。

ぼくは、結婚し妻と幼稚園の娘と情報誌の編集の仕事をして暮らしていたが、花菜子さんと再会して徐々に生活が、人生が狂い始める。

盛田隆二が自らの過去をモチーフに書いたそうです。
3章で構成されていて、1章と3章に1985年、2章に1973年が語られています。
東京のそれぞれの時代の雰囲気が伝わってきますが、ストーリーとしてはつながっているんですが、全体に散文的な感じで描かれていて、いまひとつ入り込めないうちにストーリーが終わってしまったと感じました。
ただ、ずっと以前に読んだ盛田隆二のストリート・チルドレンはもう一度読みたいと思いました。

恋愛  ★★★
スリル ★★
感動  ★★
総合  ★★

THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

不自由な心 白石一文

5編の短編集です。短編といってもそれぞれそこそこの長さがあります。

『天気雨』
野島は42歳のサラリーマン。妻と娘がいるが、社内の秘書課に27歳の美しい恵理と不倫の関係にあった。
あるパーティーで、恵理が以前の彼氏と結婚するらしいという噂を聞き、野島は動転し恵理に問い質す。以前の彼氏とは、取引先の部長でやはり当時不倫関係であった。
元ラガーマンで剛直な野島は、恵理からはっきしたことが聞き出せないと、直接相手を呼び出して真相を聞き出すが。

『卵の夢』
事務機器メーカーに勤める坂本は43歳。父の武吉は都内の病院で死を待つ状態だった。仕事に追われるある日、妻の由利子が短い書き置きを残して去ってしまった。由利子が去った先は、結婚前の男、遠藤の元だった。
都会で社会を支えるひとりの男を通して人生の諦観と悲哀が描かれる。

『夢の空』
福岡での短い出張を終えた大木邦男は、ほとんど徹夜明けの朝、東京へ戻る飛行機に乗るために福岡空港にいた。
今朝まで、かつての同僚で不倫相手だった金親と飲んでいた。
深く愛し合っていたにも関わらず、一人息子の発病など様々なことが原因で、一緒になることが出来なかった女性。金親との出会いからを回想しつつ飛行機の中でまどろむ邦男だったが、突然大きな振動が飛行機を襲う。

『水の年輪』
飲料水メーカーに勤める三枝は、友人の医者から余命1年の胃癌を宣告される。以前に同じ病気で兄を亡くしている三枝は、仕事を辞め妻に癌の告知を受けたことを告げ、残りの人生を思うように過ごすために別離を告げて家を出る。
三枝には妻のほか、高校生の娘がいるが、その下の一人息子を3歳の時に海の事故で亡くすという過去があった。
家を出た三枝は、自分の人生や生、死を見つめながらひとりの女性に会いに行くことを決意する。
その女性、長瀬仁美は5年前偶然知り合い深く愛し合うようになったが、妻が心神耗弱になったことで、自ら三枝の元を去っていった女性だった。

『不自由な心』
江川一郎は、妹から亭主との離婚を告げられる。妹の亭主は自分が紹介した同じ会社の後輩、森山啓介だった。離婚の原因は、啓介に他に女が出来たことと聞かされた江川は、同じ社内の一力真希であると考え、真希を呼び出し啓介との仲を問い質す。
一方、江川は車椅子生活を送る妻の満代と娘美奈子がいるにも関わらず、部下の津村みゆきと関係を持ってしまう。

いづれも、40歳前後の企業に勤める仕事盛りの「もてる」男と彼らの人生に登場する美しい女性たちを主人公とした物語集です。
しかし、ただ単に、男女の艶かしいストーリーを展開するだけではなく、
白石作品ならではの、愛とは、人生とは、生とは、死とはと読者に問いかける内容です。
自分らしく生きて死ぬとは一体どういうことなのか、考えさせられる素晴らしい作品です。

恋愛  ★★★★★
スリル ★★★
感動  ★★★★★
総合  ★★★★★

THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

電車男 中野独人

あの超話題になった電車男です。まずはストーリーから。

インターネットの掲示板2ch(2チャンネル)のあるスレッドに、ひとりの毒男(どくお、あるいはどくおとこ。独身の男の自虐的自称)から書き込みが寄せられた。
もてない男が集まるサイトでのこの毒男の書き込みは、「今日電車で酔っ払いに絡まれた女性を助けたら、その女性から連絡先を聞かれた」との報告だった。
そして何気ないこの報告の数日後、女性からHERMESのカップのセットが届く。
そのお礼の電話をするか否かで、掲示板は一気にヒートアップ!
この毒男は「電車男」、女性は「エルメスさん」と呼ばれ、このスレッドは電車男とエルメスさんの恋の発展を応援するスレッドに変化する。

もてない秋葉原男と年上の美しい女性の恋の物語。

今さら紹介するまでもなく、たくさんの人がすでに読んでいるのかもしれませんが、私はこの本がはやった当時、本屋さんで手にとって、2chの掲示板そのもののひたすらスレッドのやり取りで構成されている内容に、「こんなの読めません」と食わず嫌いでやめてしまったんですが、今回、図書館で見つけて読み出してみると、こんなに面白い恋愛小説なんてここのところない!と思って一気に読んでしまいました。

電車の中で読んでいて、笑いをこらえるのに必死でした。
そして、単純に恋愛っていいなぁと感動しました。

「恋愛したくなる本」としては最高です。ぜひ!

恋愛  ★★★★★
スリル ★★★★★
感動  ★★★★
総合  ★★★★★

THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

REVERSE(リバース) 石田衣良

「阪急電車」に続いて恋愛モノです。

丹野千晶は、アパレルの海外ブランドを日本で展開するマネージメントする商社に勤務する「かっこいい」女性。
一方、大久保秀紀は、WEB制作会社のWEBデザイナーで、毎日昼ごろに出勤し深夜に帰宅する毎日。仕事はできるが、毎日の生活に疑問を感じるような日々だった。
実生活ではまったく交わることのない二人は、深夜何時間もネットのSNS(ソーシャルネットワークサービス)のチャットで会話を交わす「親しい」間柄だった。
ただし、千晶は、男性のアキヒトとして、秀紀は女性のキリコとして。

仕事や人間関係でいろいろな悩みを抱える二人はインターネットを通して互いに相談したり、ぼやいたりする内に実際に会いたいと思うようになる。

最近ドラマ「美丘」が大ヒットした石田衣良のラブストーリーです。
とても今的で、どこにでもありそうな、でもちょっと複雑な恋愛が描かれています。
読みやすくておしゃれですね。

恋愛  ★★★★★
スリル ★★★★
感動  ★★★
総合  ★★★★


THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

阪急電車 有川浩

今話題の「阪急電車」です。

兵庫県の西宮市、宝塚市界隈を走るとても短い路線阪急今津線。
その今津線で偶然出会った人達が、不思議につながりいくつかの小さな物語が生まれていくというおはなし。

社会人の柾志は、週に2回通う図書館で見かけるきれいな女性を、図書館の帰りの阪急電車今津線の中で偶然見つける。あるきっかけでその女性と話すことになり、その日がふたりの初めてのデートになる。
同じ車両に乗り合わせていた翔子は、ふたりの会話を聞きながら、さっき途中で退席した元彼の披露宴のことを思い返していた。5年付き合った彼を寝取った新妻は、翔子の同僚で「元」友人だった。

電車で見知らぬ人と会話を交わすことって、現実にはほとんどありえないですが、この作品に登場する人物たちは偶然乗り合わせた見知らぬ人と、自然とつながっていきます。
誰しも、電車で乗り合わせたかっこいい人やきれいな人と知り合えたら、と想像することはあるのではないかと思いますが、この作品の中では、そんなことがさらっと起こります。
そして恋愛だけでなく、喜怒哀楽、さまざまな感情が人とのつながりを通して移ろっていく面白さが、とても読みやすい文章で描かれています。
恋がしたくなるおはなしですよ。

恋愛  ★★★★★
スリル ★
感動  ★★★★
総合  ★★★★★


THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

ふたたびの恋 野沢尚

3編の”恋”についての短編集

「ふたたびの恋」
40歳前の室生晃一は人気のピークを過ぎた脚本家。かつて講師を務めたシナリオ学校の生徒で晃一と不倫の関係になった逢木新子はその後、売れっ子の恋愛ドラマ脚本家となり、嫉妬のため別れてしまう。

その後、離婚してひとりとなった晃一は休暇のため、沖縄を訪れるが偶然新子と再会する。
新子は新しいドラマの脚本で悩んでおり、晃一に助けてほしいと願い出る。

「恋のきずな」
木崎聖子(さとこ)は40歳。夫が単身赴任中のため、高校生の息子と二人で暮らしていた。日中、息子皓一が留守の間、少しの酒を飲むことをひそかな楽しみとしていた。
ある日、息子が友人でサッカー部のエースの松浦英介君を連れてきた。得意の料理をほめてくれる少し大人びた英介に聖子は次第に惹かれていく。
ある日、聖子は英介からサッカーの試合観戦に二人で行きませんかと誘われる。

「さよならを言う恋」
藤田は40歳前の独身。かつて洋食屋を取り仕切っていたシェフであったが、一人息子の死、美しい妻なほとの別れを経て荒み、現在は加寿子の経営する太陽亭という弁当屋で1日100食限定の人気メニューのオムライス弁当を作る毎日だった。
そんな時、別れて1年半の妻から都内のホテルに呼び出される。
意図が読めない中、戸惑いと俗な期待を持って、ホテルを訪れた藤田はスイートルームでなほと対面する。

はじめて野沢尚の作品に出会ったのはもう数年前の本屋さんでした。たまたま手に取った一冊を皮切りにほとんどの作品を読みました。主に男女の恋愛について、深く美しくセクシーに書く作家だと思います。
数年ぶりに、短編を読みましたがやはりいいですね。
すでに亡くなってしまっているのでもう新しい作品を読むことができないのが残念です。

恋愛  ★★★★★
スリル ★★
感動  ★★★★
総合  ★★★★★

THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

花の降る午後 宮本輝

甲斐典子は、30代なかばのとても美しい女性。神戸の異人館が並ぶ街のフランス料理店「アヴィニヨン」を経営していた。
「アヴィニヨン」は若くしてガンで亡くした典子の夫の形見であった。

フランス料理などまったく知らなかった素人の典子は、義母の薦めもあり、夫の亡き後4年間必死に「アヴィニヨン」を盛り立て、店は以前にも増して人気を集めるようになった。

ある日、夫の最期に一緒に旅行した先で購入した無名の画家の絵画「白い絵」の作者、高見雅道が突然「アヴィニヨン」を訪れ、自分の作品展のために絵を貸してほしいと申し出る。

時を経ず、典子と雅道は互いに惹かれ典子の住居であるアヴィニヨンの2階で逢瀬を重ねる。

そんな中、アヴィニヨンを乗っ取ろうとたくらむ異常な夫婦が現れ、典子は知人の中国人 黄の力を借り、信頼できるアヴィニョンのスタッフ達と共にアヴィニヨンを守るべく奔走する。

私が始めて読んだ宮本輝の作品です。
「骸骨ビルの庭」がとても良かったので、数年ぶりに読み返しました。
恋愛小説として、最上級の作品だと個人的に思います。
恋愛小説としてとてもすばらしい作品でありながら、人の幸せや宿命とは何か、人はどう生きるのか、ということも描かれています。

主人公典子やその周囲の人たちの感情がとても繊細に描かれていて、物語の中にどんどん引き込まれますね。

恋愛  ★★★★★
スリル ★★★★
感動  ★★★★★
総合  ★★★★★

THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

錦繡 宮本輝

かつて夫婦だった有馬靖明と勝沼亜紀は別れて10年後、偶然蔵王のダリア園からドッコ沼へ上るゴンドラリフトの中で再会する。
それぞれ37歳、35歳になっており、亜紀は再婚した夫との8歳の息子で知能障害を持つ清高を伴っていた。
ほんのひとことだけ会話を交わして別れた二人だったが、亜紀からの手紙をはじまりに手紙のみのやり取りが始まる。かつて二人の間に起こった出来事が徐々に明らかになっていく過程で、それぞれの想い、そして愛や生そして死に対する思いが綴られていく。

なぜ二人は別れなければならなかったのか、今まで互いに伝わらなかった想いなどがたしかなことばで語られます。

宮本輝の作品は大好きで、この作品も以前からずっと読みたいと思いつつ、今回やっと読むことができました。
男女の愛憎劇や生きること死ぬことについて深く考えさせられるとても深い作品です。
他の宮本輝の作品同様、文章がすばらしいです。離婚の原因となる靖明の初恋相手との中学生時代のエピソードなどは思わず胸が熱くなります。おすすめです。

恋愛  ★★★★★
スリル ★★★
感動  ★★★★★
総合  ★★★★★

THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |
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