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kumago

  • Author:kumago
  • 関西在住会社員。読書はもっぱら電車の中。熱中のあまり乗り過ごすこともしばしば。でもそんな小説に出会えたときは最高!
    *各記事のアイコンはAmazonのサイトにリンクしていています。
    Amazonの記事にも作品のあらすじや読んだ方の感想がありますので、ぜひそちらも参考に。
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レキシントンの幽霊 村上春樹



1996年発行の6編の短編小説集です。

「レキシントンの幽霊」
冒頭、「これは数年前に実際に起こったことである。」と始まる奇妙なストーリーです。
「僕」がアメリカのマサチューセッツ州ケンブリッジに住んでいた時に友人の邸宅で1週間ほど留守番をして犬のお世話をすることになる。
そこで初日の深夜に起こった出来事についてが描かれます。
それは真実のできごとなのか。いったいなんなのか。

「緑色の獣」
一戸建ての自宅で夫の出勤を見送った後「私」は時間を持て余してじっと庭の椎の木を眺めていた。するとその木の根元の地面が盛り上がり全身緑色の鱗に覆われた気持ちの悪い風貌の獣が現れ、玄関から家に入ってきて「私」にプロポーズする。

「沈黙」
「僕」と大沢さんは空港のレストランで一緒に仕事で新潟へ向かうため雪で遅れている飛行機の出発時間を待っていた。
そして大沢さんが中学のころからずっとボクシングジムに通っているという話の流れで、これまで誰かをけんかで殴ったことがあるか、と訊ねる。
その問いに大沢さんはボクシングを習いたての頃に一度だけ殴ったことがあると話し始める。

「氷男」
「私」は友達と訪れたスキー場のホテルのロビーの片隅でずっと本を読んでいた「氷男」と出会い、結婚する。
友達によると、氷男は全身が氷でできているということだが、素性はよくわからない奇妙な存在だった。

「トニー滝谷」
戦前のプレイボーイ滝谷省三郎の息子としてトニー滝谷は精密でメカニカルな絵を描く人気のイラストレーターとなり、資産家となり恋に落ちる。やがて二人は結婚するが、彼女は病的は洋服好きであった。

「七番目の男」
ある夜、ある部屋で円座になって7人の人々が話す中、その七番目として話し出した50代半ばに見える男は、「その波が私を捉えようとしたのは、私が十歳の年の、九月の午後のことでした」と話し始めた。
それは大きな台風が町を襲い、そこで起こった恐ろしい出来事の話であった。

「めくらやなぎと、眠る女」
25歳の僕は久しぶりに帰省した実家で叔母に頼まれて耳が悪い14歳のいとこを連れて耳の診察を受ける病院へ出向く。
いとこの診察を待つ間、8年前に友だちと友だちの彼女を病院に見舞ったときのことを思い出す。
彼女は紙ナプキンの裏にめくらやなぎという想像上の木と家の中で眠る女の絵を描く。

どの作品も少しずつ奇妙な童話のようなストーリーです。
なんとも言えない独特な世界観です。

恋愛  ★★★
スリル  ★★★
感動  ★★★
総合  ★★★★
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今夜は眠れない 宮部みゆき


中学一年生の緒方雅男が両親と暮らすマンションに弁護士がやってくる。
先日病気で亡くなった有名な相場師澤村直晃が、ずっと昔に恩を受けた雅男の母聡子さんに、恩返しとして5億円を遺贈するという遺言を残したというのだった。

それから大騒動が緒方家を襲う。マスコミによって公にされてしまってから、近所の人々や宗教団体、遠い親戚など、ありとあらゆる人から電話や手紙、訪問が殺到する。
あげく、雅男のお父さんは澤村氏と聡子さんが恋人同士だったのではないかと疑い、家を出て行ってしまう。

ことの真相を探るべく、雅男と親友で秀才の島崎は調査に乗り出す。

雅男の視点で描かれるミステリーです。
個人的には子供の視点で描かれるストーリーはあまり感情移入ができないので好きではないのですが、5億円が舞い込むという誰もが(少なくも私は)いちどは想像したことがあるようなおはなしがとても面白おかしく描かれています。
中学生や高校生にも読みやすいミステリーの入門編といった感じです。とはいえ、いろいろな伏線がひとつに収束してく展開はさすが宮部みゆきですね。

恋愛  ★★

スリル  ★★★
感動  ★★★
総合  ★★★

続きを読む

どれくらいの愛情 白石一文



4編の恋愛小説集です。

「20年後の私へ」
旅行会社に勤める39歳の岬は、仕事関係のパーティーで3年前に協議離婚した元夫と思いがけず再会し、ささくれだった気持ちのまま一人暮らしのマンションに帰り着く。
翌朝、郵便物の中にかつて19歳の時に大学の授業の課題で書かされた自分あての「20年後の私へ」という手紙を見つける。
ふと会社の後輩の安西から100円で「レンタル」した邦画のDVDがあったことを思い出し観ることにする。5期下の安西は仕事の評判はあまりよくないが、不思議と自分の気持ちにぴったりする映画をおすすめしてくれる。彼もまた離婚経験者であった。

40歳を前に離婚を経験し、これからの人生に悩む女性の心が描かれます。自分にとって何が幸せかを考える岬にぴったりのエールを送るのが、20年前の私から届いた手紙、という素敵なストーリーですね。

「たとえ真実を知っても彼は」
出版社に勤める市川は、別の出版社に勤める妻緋沙子との12回目の結婚記念日を迎える。一人息子の文彦を実家に預け例年通り結婚記念日の夜は二人で過ごす約束をして北海道への日帰り出張に出発する。
しかし、北海道に着いた市川の携帯に会社から連絡が入り市川が担当する大物作家の里見鴻一郎が心筋梗塞で急逝したことを知らされる。里見は以前緋沙子も担当した作家で二人を引き合わせた人物であった。
里見の妻でありフランス人である里見カレンを支えて通夜葬儀を終えて自宅に戻った市川は、緋沙子から離婚してほしいと告げられる。

例によって中途半端なところまでしか書けませんが、里見夫妻と市川夫妻の過去から、表面に現れる人間関係に潜む隠れた愛情と性、嫉妬が描かれます。

「ダーウィンの法則」
知佳と関口英一は付き合って3か月。英一には妻と中学生の娘がいる。
今は亡き知佳の父も亡くなる前に不倫が発覚し、知佳は教師であったその相手の自宅に乗り込んだという経験をもっていた。
知佳は日中は博多でめんたいこを扱う会社に事務員として勤め、夜は「ダーウィン」という店でアルバイトをし、英一は「ダーウィン」の客だった。

知佳は英一の言動考察、英一との関係、過去に付き合った男たちとの関係などから、生殖という動物の本能まで辿って性について考えます。

「どれくらいの愛情」
博多で「博多ぜんざい・ナカムラ」を経営する中村正平は独身で、順調な事業拡大とはうらはらに、5年前に別れた晶(あきら)のことが忘れられないでいた。
結婚まで約束した晶の許しがたい裏切りにより心に傷を負った正平に、ある深夜、晶から電話がかかってくる。
同じ博多に住む晶とはしばしば道ですれ違いながらもお互いに声をかけることもなかったが、ちょうど昨日がすれ違って100回目だったと言う。
その後晶の入院をきっかけにまた晶との付き合いが始まるが、晶の現在の彼や晶の兄が現れ、ビジネスだけであった正平の人生に波風が立ち始める。そして5年前の晶の裏切りの真相が見えてくる。

正平が晶と再び会うようになった時の正平の思いに次のような一文があります。

―自分のことを心配してくれる存在も大事だが、それと同等かそれ以上に、こうして自分に心配をかけてくれる存在が大切なのだ―

この一文がいいなぁと思いました。
男女を問わず、人間関係のひとつの真理ですね。

この作品のラストシーンがすごく好きです。

作者のあとがきによると、この4編は長編「もしも、私があなただったら」と同時期の2005年から2006年に書かれた一連の作品群ともいえるものとのことです。

大人の恋愛ものがたりですね。

恋愛  ★★★
スリル  ★★★★
感動  ★★★★
総合  ★★★★★

地の星 宮本輝



連作「流転の海」の第2部「地の星」です。
昭和24年、松坂熊吾は、妻房江と戦後50歳を過ぎて初めて授かった息子伸仁の健康を考え、環境の悪い大阪から故郷の愛媛県南宇和郡城辺町に戻った。
それから2年が経ち、田舎の大自然の中で房江と伸仁は健康になったが、戦前大阪で松坂商会を立ち上げ実業家となった熊吾はかつての仕事仲間が大阪で奮闘している中、焦りを感じていた。

その熊吾の前に40年前に熊吾に投げ飛ばされて足が不自由になりその仕返しをするために戻ってきたという「増田組」の組長、わうどうの伊佐男が現れたところから熊吾の周りでいろいろなことが動き出す。
熊吾の母ヒサ、熊吾の妹で二人の私生児の母であるタネ達と暮らす中、熊吾は深浦港の網元和田茂十の県会議員出馬を支援する選挙参謀となる。

前作流転の海の戦後の混乱期の大阪から一転、のどかで偏狭な愛媛県の田舎に舞台を移し、かつて展開した事業と比較すると日々の些末な出来事に振り回されながら自分の人生を見つめなおす時間を送る熊吾の数年間が描かれます。

このブログを書くためにぱらぱらと読み返そうと思って読み始めたのですが、結局すべて読み返してすっかりはまってしまいました。

文句なしにお勧めの作品です。
また後日、第3部「血脈の火」の感想も書きたいと思います。

恋愛  ★★★
スリル  ★★★★
感動  ★★★★
総合  ★★★★★
THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

海賊とよばれた男 百田尚樹


「永遠の0」の作者、百田尚樹の新作です。単行本ですがおすすめの感動作です。

明治18年、裕福な家庭に生まれた国岡鐵造は、体が弱く高等小学校卒業後は父の商いを手伝い、中学へ進学することを許してもらえなかった。
しかし鐵造は父に隠れて猛勉強し、ひそかに受験した中学に合格し進学した後、親元を離れて神戸高商(現在の神戸大学)に進学する。
日本中から優秀な若者が集まる神戸高商の中では目立つことのなかった鐵造は、神戸に住む資産家の日田重太郎と運命の出会いを果たす。
多くの同級生が国家を動かす銀行や商社で働きたいという中、鐵造は商人になって、中間の商社を通さず直接消費者に商品を売ることにより、生産者も消費者も同時に潤う社会の実現を考えていた。
そのような想いは学友達には馬鹿にされるが、日田は鐵造を認め、卒業後小さな商店に勤め、いづれは石油を商う会社を設立したいと熱望する鐵造に無償で巨額の資金をあげるという。
出資に際して日田が鐵造に出した条件は3つ。家族で仲良く暮らすこと、自分の初志を貫くこと、そしてこのことを誰にも話さないこと、だった。
鐵造はその資金を元に明治44年(1911年)、九州の門司で国岡商店を起業する。
しかし、それからの人生は波瀾万丈であった。数々の困難を乗り越え、事業を発展させる鐵造の信念は、「商売の目的は自分たちが儲けることではなく、日本の発展に寄与すること」であった。
すべての社員を自分の子供と考え、教育し、満州やアジア諸国にもどんどん進出する鐵造であったが、やがて太平洋戦争の敗戦で海外のすべての資産を失う。

商う石油も手に入らない中、鐵造はそのとき1千人になっていた社員を一人も馘首することなく、やれることはなんでもやろう、と重役たちに言う。
やがて鐵造は、さらなる壮絶な障害を越えて日本の歴史に残る「仕事」をいくつもやり遂げる実業家となる。

私が今まで読んだ本の中でも、いちばん良かった作品かもしれません。

「この物語に登場する男たちは実在した。」と冒頭にあるように、実話です。

国岡鐵造と彼を信奉する優秀な社員達の壮絶な物語です。
特に若い男性に読んでもらいたい作品です。


恋愛  ★★★★★
スリル ★★★★★
感動  ★★★★★
総合  ★★★★★

THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

日輪の遺産 浅田次郎

昭和20年8月、日本は戦争に敗れようとしていた。
東京三鷹の工場で飛行機の計器類に使うコイルを作っていた女学生達の元に、軍の小泉中尉と名乗る軍人が現れる。
小泉は、女子生徒達が慕う野口先生と女子生徒35人に極秘の任務のために自分たちと一緒に来るように命ずる。
トラックの荷台でに乗せられた彼女達が着いたのは、南多摩の丘陵地帯であり、彼女達の任務は列車から「物資」を火工廠へと運ぶことだった。
非常に優秀な小泉中尉と真柴少佐が、軍のトップである将軍達に極秘に呼び出され命じられた任務は、陸軍がマッカーサーから奪った莫大な財宝を戦後将来の日本の再起の為に役立てるべく隠匿しておくことであった。

そして現代、ある年の瀬、倒産寸前の不動産屋の社長丹羽明人は、起死回生を掛けて府中競馬場にいた。そこで知り合った老人のせいで大金を手にし損ねた丹羽は老人に誘われて一緒に飲むことになる。その席で古ぼけた手帳を丹羽に手渡した老人はそのまま急死する。手帳には昭和20年のある出来事が記されており、真柴司郎と名前が書かれていた。

終戦間際、真柴達に課せられて極秘任務を通して当時の日本の様子が浮き彫りにされます。
真柴老人の手帳に記された財宝は実在するのか、丹羽はその財宝を手にすることができるのか。

真柴を中心に描かれる当時の日本の様子と、丹羽の目線で描かれる現在が交互に描かれる構成が興味深いですね。


恋愛  ★
スリル ★★★★★
感動  ★★★★★
総合  ★★★

THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

三千枚の金貨(上)(下) 宮本輝

2010年発表の作品です。

斉木光生(さいきみつお)はマミヤ文具というオリジナルの質の高い文具を作るメーカーの役員で43歳。
12年前にマミヤ文具社長の間宮に誘われ、宇津木、川岸という同僚と共に大手文具メーカーを退社して会社の立ち上げ・発展に貢献してきた人呼んで「マミヤ三銃士」の一人だった。

光生はマミヤ文具立ち上げの際に間宮が約束した10年後の1ヶ月間の休暇と海外旅行の費用の会社負担を実行し、シルクロードへの一人旅を終えた帰りに沙都(さと)が経営する銀座のショットバーMUROYに立ち寄る。
3年前看護婦をしていた沙都が勤めていた病院にポリープで入院した時の深夜、
「和歌山県のある大きな桜の木の下に三千枚の金貨を埋めた、見つけたらあんたにあげるよ」
と光生に告げ、その3日後に亡くなった見知らぬ男のことを尋ねるためだった。

現在の評価額で1億円にもなるその金貨のはなしは本当なのか、その男は何者なのか。

光生は沙都から、その男は芹沢由郎という名で、早逝した沙都の姉が残した娘由菜の父親で、政財界にも通じる巨大な金融セリザワファイナンスの役員だったと告げる。
そして、由菜のためにマミヤ三銃士の力で三千枚の金貨を見つけてほしいと話す。

由菜に会ってから考える、という光生に後日京都に住む高校生の由菜を引き合わせた沙都は、光生に20年前に沙都の姉が調査会社に依頼した芹沢由郎に関する分厚い調査報告書を手渡す。

その報告書には、由郎の悲惨な幼少期のことやずば抜けて優秀であったことなど、常に黒い噂が流れるセリザワファイナンスの陰の実力者でありながら、その噂とは正反対の由郎の人柄が綴られていた。

それぞれにその報告書を読んだ三銃士は、少ない手がかりの中、金貨を見つけ出すと決意する。

久しぶりに読後、感動に浸った作品です。
光生を中心とした人々の現在と、報告書で語られる由郎を中心と人々の20年前の過去。それぞれの時代のそれぞれの人たちの人生が豊かな文章で語られ、物語をとても深いものにしています。

とてもよい作品です。

(単行本のみ)

恋愛  ★★★★★
スリル ★★★★★
感動  ★★★★★
総合  ★★★★★

THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

慈雨の音-流転の海第6部- 宮本輝

流転の海の第6部、「慈雨の音」です。

昭和34年大阪で柳田商会のモータープールの管理人として職と住を得た熊吾と房江、そして肉体的な成長が遅れているが天真爛漫で素直な中学生となった伸仁は、穏やかな日常を手に入れていた。

房江は親子3人で平穏に暮らせることに幸せを感じ、通信教育で字の勉強を始める。家族の生活のため小学校さえ卒業することを許されることのなかった房江にとって、学がないということが大きなコンプレックスであったが、熊吾の理解を得られないことも苦になっていた。

一方の熊吾は、現在の生活に決して満足せず自らの事業家としての再起をかけ、奔走する。

時代の大きなうねりや自らの運命というしかない試練に、内に宿る強烈なエネルギーを時に激しく時に静かに爆発させながら、決して他人を騙したり利用することなくまっすぐに生きる松坂熊吾の人生をつづるシリーズ第6部です。
熊吾一家同様、熊吾の周りの人々の人生も出会いや別れを繰り返し喜びや悲哀をもって描かれています。

小説が好きな人であれば、ぜひ読んでいただきたい作品です。前作の「花の回廊」までは文庫になっていますので、第1作の「流転の海」から読んでみてください。

私がこのブログを始めようと思ったきっかけになった作品です。

恋愛  ★★★★
スリル ★★★
感動  ★★★★ 
総合  ★★★★★


THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

見えないドアと鶴の空 白石一文

昂一は2年前に勤めていた出版社を辞めて、現在は専業主夫となっていた。妻の絹子は海外や国内を飛びまわってテレビCMの制作などの仕事をしており、5年を過ぎた結婚生活は味気のないものになってしまっていた。

絹子の高校時代からの親友、由香里は、シングルマザーで男の子を出産する。絹子の不在中に、由香里の出産に立ち会ったという出来事から3人の関係が次第に崩れていく。
不快感を示す絹子をよそに、昂一は由香里と関係を持つ。
絹子の出張中に由香里の部屋に泊まった翌朝、絹子が現れ由香里と不可解な言い争いをした後、昂一を霊能者のところに連れて行く。

絹子によると、由香里には不思議な力があり、その力を使って昂一をたぶらかしているというのだった。
二人の過去に鍵があると考えた昂一は、二人が出会った北海道に住む絹子の母親を訪ねる。

2004年に出版された作品です。
いわゆる超能力を持つ女性が登場し、超常識的な出来事を通して逆に普遍的な人間の生と死を描いています。
文庫に載せられているかどうかはわかりませんが、単行本の刊末には作者直筆の読者へのメッセージがあります。初めにこの作品を読んだ後、そのメッセージを見た時、なぜか強烈な印象を受けました。

私の個人的な評価は満点です。ぜひ。

恋愛  ★★★★★
スリル ★★★★★
感動  ★★★★★
総合  ★★★★★


THEME:本の紹介 | GENRE:小説・文学 |

兎の眼 灰谷健次郎

1974年に出版された古い作品です。

大学を出て小学校の教師となった小谷芙美先生は、1年生のクラスの担任になる。医師の父を持ち、美しく新婚でもあった小谷先生が赴任した小学校は、工業地帯の中にあり、すぐ隣には塵芥処理所がある。
塵芥処理所には長屋住居が併設されており、処理所からもたくさんの子どもたちが小学校に通っていた。

処理所の子どもの一人で小谷先生のクラスに鉄三という男の子がいた。このおはなしの冒頭、鉄三が同じクラスの生徒が持ってきたカエルを引き裂いて殺してしまう。
2ヵ月後には、授業中突然先生に襲い掛かり、他の生徒にも襲い掛かって怪我をさせる。
鉄三は普段から一言もしゃべらず処理所のほかには友達も一人もいなかった。鉄三の友達は、飼っているたくさんのハエだった。

この風変わりな鉄三の心を開きたいと思った小谷先生は、同僚で破天荒だが誰よりも子供たちを愛し、子どもたちから慕われている足立先生の協力も得ながら、毎日鉄三の家を訪れる。
そのことをきっかけとして、自分でも気づかないうちに生徒たちや処理所を初め地域の人達とのふれあいやさまざまな出来事を通して、教師として人間として悩み成長していく。

この作品は、他の方が小説ブログで紹介されていた記事を読んで、書店で手に取ったものです。
ほんとに良い作品です。
モンスターペアレンツや学校の形骸化などが社会問題になる現代において、いろいろなことを教えてくれる小説ではないでしょうか。

たくさんの子どもたちの人生に影響を与える教師という職業はすばらしいと改めて思いました。

恋愛  ★★★
スリル ★★★
感動  ★★★★★
総合  ★★★★★


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